主観的な喜劇

~Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot. Charlie Chaplin~ 人生は主観的に見ると悲劇だが客観的に見ると喜劇であるらしい。それはともかくただの高校生(現在は大学院生)のブログ。

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ポヌという生き物

二年ぶりの更新。

最近ツイッターのプロフィールからもリンクを外してほぼウェブ廃墟同然のこのブログだけど、なんとなく更新します。

久々の小説(?)です。
僕はポヌという生き物を飼っている。正確に言うと、つい昨日から飼い始めたのだ。
今日はポヌと初めてのお出かけ。僕はポヌにお出かけ用の服を着せた。散歩のときに服を着せられる犬がいるように、ポヌも出かけるときには服を着せられるのだ。
ポヌが服を着せられることによって生まれた新しい生き物、服を着たポヌ。そのままである。

僕はポヌという生き物のことを全く知らないわけではないが、あまり詳しくは知らない。なので、今日は動物病院に行って獣医さんにポヌのことをたくさん教えてもらうのだ。
僕が玄関で靴を履こうとすると、服を着たポヌはその靴の片方の中にするりと入り込んでしまった。
服を着たポヌが靴に入り込むことで生まれた新しい生き物、服を着たポヌが潜む靴。とても愛らしい。

代わりに別の靴を履いた僕は、いよいよ服を着たポヌが潜む靴と共に家を出た。
僕がポヌと出会ったのは昨日のことで、家の近くの茂みで偶然見つけたのだ。ペットを飼うことに憧れていた僕は、その場でポヌを飼うことを決心したのだった。
動物病院へ向かう途中に、郵便局があった。郵便局の前には当然ポストがある。服を着たポヌが潜む靴は、ポストの投函口に向かって飛び込み、そのまま中へ入り込んでしまった。
服を着たポヌが潜む靴がポストの中に入り込むことで生まれた新しい生き物、ポストの中の服を着たポヌが潜む靴。あえて略すのなら、ポストポヌといったところか。

これまでの出来事からわかるように、ポヌには物の中に入り込む性質がある。そして、入り込んだ物体を乗っ取って新たな生き物となるのだ。
引き続き動物病院への道を歩いていると、路肩に車が停められているのを見つけた。ポストの中の服を着たポヌが潜む靴は、車の排気口からその中へと侵入し、見事に車を乗っ取ってしまった。
ポストの中の服を着たポヌが潜む靴が車に入り込むことによって生まれた新しい生き物、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴。歴史上の人物で例えるなら、宮本武蔵や高杉晋作といったところか。それか牛若丸。

ポヌやポヌに乗っ取られて生まれた新しい生き物を、総称して「ポヌ派生物」と呼ぶことにしよう。ポヌ派生物には物に入り込んで乗っ取ってしまう性質があることは先に話した通りだが、その対象にはまったく見境がないのだ。大小も問わなければ、素材もまったく問わない。
道すがら、僕はたい焼きの屋台を見つけた。少し腹が空いてきていた僕は、休憩がてらたい焼きを頂くことにした。たい焼きを購入して早速口にしようとした瞬間、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴は、素早い動きで僕の手に握られたたい焼きの中に飛び込み、あっという間に乗っ取ってしまった。
車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴がたい焼きに入り込むことによって生まれた新しい生き物、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼き。このお出かけが終わったら、中世ヨーロッパの王族のような立派な名前を付けてやりたい。フランソワとかハインリッヒとか。

さて、そろそろ僕がポヌやポヌ派生物について知っていることは底を尽きてきた。あとは獣医さんが広い見識を持っていることを信じるしかないだろう。
僕と車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きの前を、野良犬が通りかかった。もはや当然のことであるがごとく、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きは、あっという間に野良犬の口からその中に入り込み、乗っ取ってしまったのであった。
車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きが野良犬に入り込むことで生まれた新しい生き物、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬。さあ、動物病院はもうすぐだ。

ついに動物病院にたどり着いた僕と車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬は、診察室に案内され獣医の先生と向かい合う。途端、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬は迷うことなく先生に飛びかかる…となると僕は予想していたのだが、どうも病院に入ってから様子がおかしい。
周りを見ると、看護師達や他の来院者はみな虚ろな目をしてその場に立ち尽くしており、来院者のペット達もまたその場でうずくまって動こうとしない。診察室に立ち入ったところ、獣医の先生も例外ではなく椅子に座ったままピクリとも動かなかった。
つまるところ、どうやら車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬は、動物病院に入った時点で建物そのものを乗っ取ってしまったらしいのだ。動物病院で働く人々や他の来院者達は、巻き添えという形で纏めて取り込まれてしまったのだろう。幸い僕は、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬よりも後に病院の入り口の扉を潜ったために、取り込まれることをまぬがれたようだ。
車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬が動物病院に入り込むことで生まれた新しい生き物、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬が支配する動物病院。もはや何も言及する気も起きない。

あとは、特にこれといって何事もなく家に帰ったのであった。これにて、僕とポヌの初めてのお出かけの話は終わりである。

…ここまで書いて、車に乗ったポストの中の服を着たポヌが潜む靴を具にしたたい焼きを食べた野良犬が支配する動物病院を体内に秘めた僕は、そっと筆を置いた。

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